RE Atelier『Break Wolf』
これは、獣に汚されてもなお、気高さを諦めなかった女の物語。
これは、獣を植え付けられてなお、言葉を諦めなかった男の物語。
これは、畜生のように生きてなお、死に方を選び求めた人間の物語。
『Break Wolf』は残虐表現・性的表現を含む成人指定作品である。
この1点においてこの作品を明るみに薦めることは決してできない。
性的描写は軽減オプションもあるが猥談的な雰囲気は人を選ぶだろうし、
アニメ的とは言えど奇形化や開頭は少なからずショッキングなものだ。
しかしその事をもって黙殺することも不誠実と思わせるだけの魅力を持った、
紛れもない傑作であることも事実であり、その事をここに書き残しておきたい。
ゲームを起動するとまず韓英日3カ国語対応と流麗なアニメーションに出迎えられる。
この時点でただ事ではなさが既に感じられる。
ジャンルはRPG。物語の大筋は、動物の遺伝子を組み込まれた男女「ロミット」「アモリア」が、
自身らを改造した地下組織から脱走するため、基地の各階層を守る番人や改造を施したドクターらと対決していく、というもの。
敵との戦闘では1ターンごとに開示されていく敵の行動に合わせ、攻撃や防御などで的確に対応していくことがメインとなる。
一方で蓄積すると持続ダメージを発生させる汚染度というパラメータが存在しており、
戦闘中は汚染度についても気を配る必要がある。
中盤からは汚染度を最大まで溜めて変身によるパワーアップも解禁されるので、
攻めるか立て直すかの判断がますます悩ましくなる。
加えて、ネズミの獣人に猫をけしかけるといったように、
意外なアイテムがユニークな反応や活路を生むことがあり飽きさせない。
バトル敗北時には攻略のヒントを聞けたり、
戦闘中に使用したアイテムが全て手元に返却された上で再戦できるなど、快適さにも隙がない。
物語の中では、ロミット達は同じ境遇にある階層の番人に対して説得を試みることになる。
番人達への説得材料を探す中でそれぞれの人物描写がなされており、
説得の成否は戦闘中に使用できるコマンドや物語の行方に影響を及ぼすことになる。
ロミットは改造の後遺症で声帯を損傷しており、彼が筆談を駆使する様子は微笑ましさすら感じる一方で、
喋れない身体でありながら対話を志す覚悟に心揺さぶられずにはいられない。
それは師父「ドクターエイチ」との対峙において、複雑な感情を吐露することができないシーンにおいて爆発するとともに、
ドクターエイチの人物像から投げかけられる本作のテーマがしこりを残すのである。
ヒロインのアモリアについては、組織脱走の為にロミットを利用するしたたかさと、
そのことに負い目を感じる弱さを兼ね備えた、運命の女と呼ぶにふさわしい人物といえる。
あとナーススーツは下手なスケベシーンよりエロいと思います。はい。